「革命」はなかった。在学中に学んだ、成田克彦先生の言葉だ。
昨日と今日の境にある橋を渡ると、全く別の世界があり、身のまわりの何もかもがアップデートし、全く異なるイデオロギーの社会が始まる、それが革命だ。私が美術を学び始める、ほんの少し前(六十年から七十 年)には、学生による政治運動が活発だった。成田先生はその渦中にいた一人だ。若者はアートと政治を同じ目線で行動したが。結局、革命は起きなかった。
成田先生はもの派の中のもの派と言われる、寡黙な作品を制作した。木材が燃えることによって、物質として消えてなくなってしまう間近の「炭」を作品とした。