この原稿を書いているちょうど今、高校野球をやっている、甲子園大会だ。十八歳の高校生が負けたら終わりのトーナメントに挑む。優勝の瞬間グランドにいる勝者は九人だ。それ以外の少年は辛い敗北を味わうことになる。信念と目標を持って前進する、自分を信じて努力して意志 を貫けば、人生に必ず勝利する。そう言われ信じてきた。だが勝者は常に少数で、次から次へと敗北を大量生産し続けている。勝利至上主義が格差社会の作った、敗者がスタンダードの社会だ。