私の作品の素材として使う PVC(塩化ビニル)はプラスチックの一種で、一九三一年にドイツで開発され、工業化が進むにつれ様々なモノに生産された。まさに物質文明を象徴する素材だ。私がその素材で作品 をつくるきっかけは、大学生の頃だ。
一九八四年に東京造形大に入学した。最初の学祭(CSF)で、私は綿 (パンヤ)をアトリエに敷きつめるインスタレーション作品を制作した、ポストもの派風。同級生の I 氏は PVC(ビニル)でアトリエを包んだ、こちらはクリスト風。展示終了後、綿は舞い、浮遊しそして消滅する計 画だったが、そうはならずに大量の綿(パンヤ)が残ってしまった。
同じく残ったPVC(ビニル)を I 氏から譲り受け、立体作品を制作した。
絵画が終わった。当時、そんな論評を目にした。